幕末の神様〜桜まといし龍の姫〜








譲はいろいろな妄想を爆発させてしまう。







あ……あの三人が島原に!?






なぜ!?






土方さんや山南さんはともかく、近藤さんは行っちゃだめでしょう!!







近藤さんにはつねさんというれっきとした奥さんがいるのに!









ぎりぎりと建物の隅に爪を立てながら、譲はごくりと息を呑む。







土方さんはともかく、山南さんってこういう色町とかに興味あったんだ……。








新しい山南さんを見つけた気がして、譲はふむふむと頷く。








大発見だ。てっきり、色町で遊びほうけて入り浸っているのは新八さんだけかと思っていたのに。







あと、連日連夜島原に行っている芹沢さんぐらいかと。








と、ここで譲はふとあることに気がつく。








(三人がいたらいけないじゃない!!)







すっかり、お忍びで自分がここに来ていたことを忘れていた譲。






絶望の淵に立たされた気分だった。







一人で頭を抱え込む。







譲は、実に多彩な百面相をしていた。







(どうしよう………)






絶対に三人にここにいることを知られたくない。








でもいまさら、引き返したくはない。






だって、今の状況だったら誰も幸せになんてなれない。








だから自分が動かなきゃ。