煌びやかな灯り。
街道を行き交うのは美しい艶やかな衣装や装飾を身につけた、色気のある女たち。
どの店もそれはそれは賑わっており、客席からは楽しそうなはしゃぎ声や、談笑が漏れていた。
また吉原とは違った雰囲気のある島原に、譲は気を取られていた。
あちこちから三味線の音が聞こえる。
譲の腕が鳴った。
そうして、角屋があるはずの角を曲がろうとしたとき、ぎょっとして譲は歩みをとめた。
つい声が出そうになり、慌てて自分の口をおさえる。
建物の隅から顔を覗かせる。
視線の先にあったのは。
「こ………近藤さんっ!?土方さん!?山南さんまで!?」
角屋の暖簾の下に、その三人の姿がはっきりとあったのだ。

