「お父さん、お母さんっ!」


あたしが呼んでも、二人は顔をしかめて別方向に歩いていく。


まるであたしの声なんて聞こえなかったように。



すると、どこからともなくお姉ちゃんが現れてくる。



だけどあたしを冷めた目で睨む。

その目にはいっぱいの涙を溜めている。



「お姉ちゃんっ!!」



そんなお姉ちゃんは、お父さんが行った方に歩いていく。

追いかけようとしても、体が鉛のように重くて全く動かない。




「誠二、由美ちゃん……」


あたしの前から腕を組んだ二人が歩いてくる。


仲良さそうに笑い合って。



でも、あたしを見た瞬間、由美ちゃんは満面の笑顔に。

誠二は困ったような迷惑そうな、何とも言えない表情になる。




由美ちゃんはあたしに見せつけるように、誠二のほっぺに軽くキスをする。