「奈未がそばにいてずっと春樹を支えてくれてたから出来た。けど今は逆だ。奈未がそばにいなくて不安でしょうがないんじゃねーの?」

そうだ……

俺はきっと奈未と喧嘩したことで頭がいっぱいになってるんだ……

「これから奈未がお前の元に帰って来なかったらどうする?今のままだったらバスケ出来ないぞ?辞めるのか?」

俺のバスケに対する思いはそんなんじゃない……

けど……きっと今のままだったら……

「バスケはそのうち出来なくなる……」

自分で言って悲しくなった。

ずっと小さい時からやってたバスケ……

そのバスケがただ奈未がいなくなっただけで出来なくなるなんて……一体俺はどうしてしまったんだろう……。

「なぁ……春樹に一番必要な物はなんだ?よく考えろ。たった一つ大切な物を失って自分の仕事も出来なくなるんだ……これからの人生何が大事かわかっただろ?」

俺は……奈未がいないと生きていけない……

何も出来ないんだ……

そんな奈未を……俺が突き放していいのか?

離れられていいのか?

俺のやらなきゃいけないことはわかったよ……

奈未は誰にも渡さない……離したくない。

奈未は俺にとってただ一人の大切な人なんだ……

「海斗」
「ん?」
「咲羅に話があるんだけど」
「……どうした?」
「指輪……オリジナルの作ってもらわないと困るから」

そう言って俺は海斗に肩を組んだ。

「やっとする気になったか」
「本当にな、海斗ー!!」

俺は思いっきり海斗に抱きつく。

「うぇ!!気持ち悪っ!!離れろ離れろ!!」
「断られたらどうしよー」
「大丈夫だって」
「断られたら俺のこと慰めてね?」
「……はいはい……」

……俺、プロポーズして奈未と幸せな家庭を築きます!!