ーダンッ……ダンッ……

俺のドリブルで集中させながらどう攻めるかを考える。

海斗のディフェンスは固い……

ということはなるべく高くボールを浮かせてゴールに入れなければならない……

ということは……ゴールの近くまで行かないと打てないか……

俺はそう考えて足を動かした。

まずは海斗の体力を消耗させないと……

俺は得意な高難度のドリブルで海斗を攻める。

ターンして……追いかけられたらまたその繰り返し……

そして海斗の額からポタリと光輝く汗が流れた瞬間……

俺は海斗の空いている左のスペースから一気に掛け抜けた。

でも海斗も元プロであり現コーチだ……

そんな簡単にゴールにボールを渡さない。

すぐ俺の前には海斗がディフェンスについていた。

よし……行くか……

俺はステップを踏んでから高くジャンプする。

それに伴って海斗も俺と同じようにタイミング良くジャンプする。

今だ……

そう思って俺が海斗の横をチラッと見てからそのスペースに体を捻り込んで後ろに曲げる。

そう……俺は今バックシュートをやろうとしたのだ。

さすがの海斗でも真横のスペースに俺がいるのにバックシュートを止めることは出来ないだろう……

いける……そう思いボールを離した瞬間

ーシュッ……

と俺がいつも聞くような音……は耳に届かなかった。

俺が聞いた音は……

ーパシッ

乾いたキレのいい音……

「……え?」

床に足が着きまさかと思い後ろを振り返ると……そこにはしっかりボールを片手に抑えている海斗が俺を見て涼しそうで爽やかに笑っている。

なんで……とれた……?

俺は目を大きく見開いて海斗を見る。

「春樹も落ちたもんだなー……」

海斗はボールを指の上でコロコロと回しながら俺にゆっくりと近づいてきた。