「今日から一週間部活体験ができるぞー。自分でよく考えてから入りたい部活に入れよーいいな?
よーしじゃあ、さよならー」

担任の萩原先生が挨拶すると、みんな教室から出て行った。

「春樹はまたバスケすんの?」

帰る支度をしていると、咲羅が話し掛けてきた。

「あたりまえだろ。バスケのスポーツ推薦で入ってるんだから。咲羅は?またマネージャーすんの?」

咲羅は中学の時、学校のバスケ部でマネージャーをやっていた。

「ああ……あの過酷な試験を乗り越えてやる!!」
「過酷な試験……?何それ……?」
「は!?まさかこの学校の男子バスケマネージャーになるための過酷な試験を知らないの!?」

驚いた顔で咲羅が聞いてきた。

「悪いかよ」
「過酷な試験は手から血がにじみ出ても何十個もテーピングを枝に巻いたり、グランドの端から端まで救急箱を何個も連続で運んだりするけど、休憩が一度もないらしい。それで優秀な人だけが残ってマネージャーになれるんだっとよ」

咲羅がわざと怖い顔をして教えてくれた。

「へー……初めて知った」

そんな試験があんのか……。

つか……誰がなるんだろうな……。

奈未だったら……なわけないか……。

「じゃ、俺もう行くわ」

咲羅に手を振って教室を後にした。