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ーガラッ

重い扉を開くとそこには弱々しく座った咲羅が外を眺めていた。

「咲羅?」

優しく咲羅の名前を呼ぶと咲羅は綺麗な顔を俺に向ける。

「海斗……」

いつもとは全然違う弱々しい声……

その声と同じように弱さを訴えてくる涙がたくさん溜まった瞳……

「どうしたんだよ……大丈夫か?」

そういって俺は咲羅をそっと抱きしめる。

「っ……う″っ……うぅ……」

咲羅の腕が俺に回る。

咲羅の涙は凄い綺麗だ……けれど好きではない……。

なにかがキミを悲しませてるんだから……

「っ……グスッ……」

咲羅は基本人前では泣かない。

いつも強がっている偽りの自分を作っているから涙なんて見せたくないのだろう……

でも……本当のキミは違う……

凄い弱くてその傷に触ってしまうと何かが崩れそうなくらい繊細で……ガラスのようにその傷を深くしてしまうんだ……

そんなキミは俺の前でしか泣かない……

でも本当はもっと一人で泣いてるんだろ?

今日だって……昨日だって……キミは何かにとらわれていたはずだ……

いつもならその傷は俺から聞かない……

けれど今日は違うんだ……キミの様子が少し変なんだ……

いつもならキミは俺の名前を泣きながら呼ぶんだ……

助けてくれって……そう訴えてくるのに……

今日のキミは何も言って来ない……

ただ俺の腕の中で俺に支えてもらうように泣いてるだけ……

もしかしたら……この問題は俺が関係しているのか?

だとしたら……俺はキミの傷に触れなくてはならない……

キミは……俺の間に何が起こった?

「咲羅」
「……っ……」

咲羅は俺の声に反応するがまだ涙が止まらないのか俺に顔を見せてくれない。

「咲羅頼むから俺の顔見て?」

俺は無理やり咲羅の顔を俺に向ける。

「ヤダッ……泣いてるもん……」
「別に泣いててもいいから……」
「ブスだもん……」
「ブスじゃないしいつも泣いてる顔なんて見てるから」

そういうと咲羅は軽く俺を睨んで涙を拭いた。

「咲羅……何があった?」
「……なんで……なんで今回は私の傷に触れるの?いつも何も聞いて来ないのに!!」

俺の顔を見てさっきとは豹変して俺に怒鳴る咲羅。

「俺に関係してるんだろ?」
「……そんなことない!!どうして!?私が傷に触れられたら立ち上がれなくなるの知ってるよね!?」

一度だけ俺は咲羅の傷に触れたことがある……

その時は咲羅が意識が無くなるまで問い詰めて俺がたくさん思いださせたんだって思った。

けど……

「じゃあ何で俺に助け求めねーんだよ」
「……え?」
「いつもなら俺に助け求めにくるだろ?なのに何でこねーんだよ?」
「そんなこと「ある。俺を誰だと思ってんだよ?咲羅のことなら知ってる」

そういうと咲羅は俺からゆっくり離れて下を向いた。