「オッケー……じゃ、今日はこれで終わりにする」
「はい!!ありがとうございました!!」
「「「ありがとうした!!」」」

俺が指導を終えて更衣室に向かおうとすると……

ーピロリーン♪

メールの着信音が俺の耳に届いた。

画面を見てみると……

“咲羅”

咲羅!?

咲羅からこの時間帯にメールが来るのはあまりない。

俺が丁度指導を終えたばっかりだからって気使ってるらしいけど……

今日はどうしたんだ……?

不思議に思いながらも俺はメールを開く。

“今日倒れたから明日行きつけの病院に来て欲しい”

え?倒れた!?

俺は急いで咲羅に返信した。

“大丈夫か!?明日でいいのか?今日行ってもいいけど”

そう送ったが咲羅からの返信はなし……

何だかこっちが不安でしょうがない。

俺は急いで着替えてタクシーを拾い咲羅の病院に向かった。


__________

病院に着くと見覚えのある顔が俺の視界に入った。

「あれって……」

俺はその人に近づいて挨拶をした。

「こんにちは、お久しぶりです」
「え?海斗くん!?」

その人は俺を見てとても驚いている。

「はい、元気でしたか?」
「えぇ、元気よ?」

この人は咲羅のマネージャー。

俺は何回か会ったことがあって唯一俺と咲羅のことを知っている人でもある。

「咲羅って……」
「え?咲羅?」

マネージャーさんは困った顔をして俺を見る。

「どうかしたんですか?倒れたって……」
「どうしてそれを?」
「咲羅がメールで言ってきたんです。明日病院に来てくれって」
「明日?ならどうしてここに?」
「倒れたって聞いて……それに返信がなかったので凄い心配で……」

いつもの咲羅なら写真も入れて3分以内に来るのに今日は全く来ない。

今日は何か様子がおかしいんだ……。

「そう……でもごめんなさいね?今日咲羅もう疲れて眠っているの……だから今日は会えないわ……」

申し訳なさそうに下を見るマネージャーさん。

「そうですか……わかりました。じゃ、僕は今日ここにいます」
「え?」
「咲羅が起きたら教えて下さい。すぐに行きますから」

そういってソファーに座った。

咲羅大丈夫かなー……なんて呑気に考えながら……

「海斗くん……」
「はい」

マネージャーさんが話し掛けてきた。

「咲羅がどんな状態であっても咲羅を一人にしないでね?」
「……え?」

マネージャーさんの顔は真剣だった。

「まさか……咲羅何かの病気なんですか?」
「……まだ私からは何も言えないわ……」

それって……悪い意味なんじゃ……

「でも……咲羅を一人にしないで?知ってるでしょ?咲羅が孤独になった時のこと……」
「はい……」

俺は付き合う前にその理由を聞いた。

どうして偽っているのかを……

そして俺は思ったんだ……こいつは絶対何かを抱えているって……

守ってやらないと折れるんだって……

「だったらそばにいてあげて?私から言えることはをこれだけよ」

そういってマネージャーさんは俺の横を通り過ぎて行った。

その後俺は咲羅のことで頭がいっぱいになっていると一睡も出来ないまま夜が開けた。