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「ん……」

私は何か視線を感じて目を覚ました。

「咲羅!!よかったー……」

隣を見てみるとマネージャーが……

「ここ……」
「病院よ?倒れたの」

倒れた……言われてみると倒れたかもしれない。

「あ、今社長呼んでくるわね?ちょっと待ってて?」

そういってマネージャーは部屋を出て行った。

私……仕事……!!

そう思うけど体がダルくて動けない……。

なんで……?

すると社長が部屋に入ってきた。

「咲羅、大丈夫かね?」
「あぁ……」
「親御さんに言っておいたぞ?」
「ありがとうございます……」

でも社長はいつもとどこか違った。

深刻そうな顔をして私を見ている。

「咲羅」

そんなことを思っていると社長が口を開いた。

「ん?」
「咲羅……知ってたのか?」
「へ……?何が?」
「咲羅は……妊娠しているそうだ……」

社長の言葉に息が止まった。

なんで……?なんで社長が知ってるの?

「さっきお医者さんから聞いたよ。妊娠8週目だってさ……咲羅は気づいてたのか?」

真剣な眼差しで私は目を逸らすことができない。

「3日前に気づいて……でもまだ病院行ってなかったから今日終わったら行こうと思ってたんだけど……」
「……心当たりの人は?」
「……彼氏。ずっと付き合ってる彼氏しかいないと思う」
「そっか……彼氏さんには話してないよね?」
「あぁ……まだ……悪いけど社長、一人にさせてくんない?」

今は一人で不安を流したい……。

「あぁ、わかった……それと明日奈未ちゃんの会見だ。咲羅のこと心配してるから連絡くらいしてやりなさい」

そういって社長は部屋を出てきた行った。

その瞬間携帯を開くと奈未からメールが来ていた。

それに私は奈未が明日の会見の2分前に時間設定をしてメールを送信した。

それと……海斗にも話さなきゃならない……。

私は手が震えるのを抑えながら“今日倒れたから明日行きつけの病院に来て欲しい”とだけメールを送って携帯の電源を切った。

そしてとめどなく溢れてくる涙の雫。

「私……海斗に嫌われるかな……海斗にふられるかな……海斗に会えなくなっちゃうなかなぁ……」

私は一人で自分に問いかけながらいままで泣いたことないくらい泣いた。

「好きな気持ちには変わりないよ……」