ーギュッ……

私は春樹に思いっきり抱きついた。

「春樹ぃ……会いたかった……」

春樹がどこにも行かないようにギュッと力を込めて……春樹の胸に私の顔をうずめるように……私は春樹を力強く抱きしめた。

「奈未……」

春樹はびっくりしているのかそのまま立ち尽くしている。

春樹から離れて春樹の目をしっかりと見る。

「遅くなってごめんね?……私自分から逃げてたの……春樹と向き合いたくなくて……春樹の優しさが信じられなくて……私は強くなるって嘘をついて逃げてたの……だけど……私ずっと春樹のこと忘れたことなんてないよ?……離れてても春樹のこと思ってた……空を見てなんて書いたけど……空なんて虚しくて見れなかった……そんな時……咲羅の言葉で救われたの。あいつは待ってるって……その言葉で私なにやってるんだろうって思ってNANAの姿を見せることにしたの……。本当はね?咲羅に言われるまで一生春樹に会わないつもりでいたの……でも……それじゃ何も変わらないって気づいたの……もっと春樹を傷つけてるって……だから決めたんだ……強くなって春樹に会うって……それが私の夢……ライブ終わったらすぐ会おうって思ってたの……だけど仕事忙しくて全然オフ取れなくて……それでね?今日のバスケ見て思ったんだ……私にはこの人しかいないって……だから……わがままだけど……こんな私だけど……また隣にいていいかな?」

もう最後のほうは何言ってるかわかんないくらい泣きながら喋っていた。

それでも……私は春樹の隣にいたいよ……。

ーギュッ……

「え……?」

爽やかな香りに包まれた。

「あたりまえじゃん……おせーんだよ……バカ」

私は思いっきり春樹に抱きついた。

その時目に入ったのは私があげたバスケットボールのネックレス。

「これずっとつけててくれたんだ」
「ん?あたりまえだろ」
「私帰ってきたよ?リングは?」
「急過ぎるから今に家ある。だから帰り寄ってって?」
「わかった……」

私達はそれからどちらからともなくキスをした。

最初は触れるくらいだったのにだんだん深くなってきて息をするのが困難なくらい。