「あ″ー緊張してきた……」
「そんな心配することねーから」
「あるよ!!」

私は今楽屋にいる。

楽屋ってよりは……舞台裏?

そう……今日はライブ当日。

さっきリハーサルが終わって2時間後くらいにはお客さんが入ってくる。

「むしろ嬉しいだろ?あんな暑苦しい仮面とマント取れるんだから」

さっきから私の部屋でゴロゴロしているのは咲羅。

私は咲羅と違って緊張するタイプなの!!

「あ、うちどこで見ればいい?」
「知らないよ……それと咲羅そのショーパン短いからそんな格好したらパンツ見えてるよ!!」

足なんて開いて……この人は本当にモデルですか!?

「いいじゃん別に。奈未しかいないし?減るもんじゃないだろ」

やっぱりこの人おかしい……。

私は深いため息をついてから

「チケット買ったんじゃないの?」

と話を戻した。

「買ったけど……あげた」
「はい!?」

この子は親友のチケットを構わないであげたんですか!?

まぁ……別にいいんだけどね?

「だっておかしいだろ?裏から一般席に行くの」

言われて見ればそうか……。

「じゃあどこで見るの?」
「袖じゃダメ?」
「あたりまえ」

見えたらどうするのよ……。

「じゃ、ここでテレビで見る」
「そっか」

今日はなぜかこのライブが生中継で全国放送される。

ってな訳でたくさんのカメラがあるってことね……

それを思うとまた緊張してきた。

咲羅には生で見て欲しかったな……なんて思いながら。

でも私は強くなるんだ……その言葉だけを信じて私の高鳴る胸を抑えていた。