「……来る訳ねーか……」

俺はそう呟いて来た道を帰って行く。

ちょっと期待はしてたんだ……。

来るんじゃないかって……。

でもよく考えて見れば来るはずがないんだ。

……キミは記憶がないんだから……。

ープルルル

俺の携帯の音が辺りに鳴り響く。

画面を見てみると……

“竜基さん”

「っ……!?」

俺なんかしたっけ……?

竜基さんに呼ばれるなんてチームのことを何も知らなかった時以来……。

恐る恐る通話ボタンを押す……。

「もしもし……」
<春樹か!?今すぐ病院に行け!!>
「……え?」

病院……?

<奈未が……記憶を取り戻したらしい!!>
「っ……!!」

驚きで言葉が出ない……。

<とにかく病院に行け!!>
「……わかりました!!」

俺は急いで来た道を走り街に出てタクシーをとった。

「駅までお願いします」

そう言った俺だったけど……本当は迷っている……。

本当に記憶を取り戻したなら……俺をどう思う……?

俺が事故に遭わせたんだ……。

そんな俺に奈未はどうする……?

そんな焦りと共にもうタクシーは駅に着いていた。

「……ここ田舎なんだよな……」

駅に来たものの電車は何本走っているのかわからない……。

迷っていると……

ー東京方面行きの列車がホームに到着致しました。

「マジかよ!!」

俺は急いで切符を買って電車に乗り込んだ。

「あっぶねー……」

俺は電車の揺れがとても眠気を持ってきていつの間にか眠っていた。