[完]バスケ王子に恋をして。

「ゲームスタート!!」

その掛け声とともに動きだすボール。

ーダンダンッ……


キレイなドリブルが聞こえる。

この感触は知っている。

歓声に混じって溢れる思い……それはいつしかこのドリブルと共に消えていく感触を。

ーキュッ

靴がなる音……。

これも知っている……。

でも……私の好きな音ではない……。

この音を聞くたび胸が締め付けられるから……。

ーシュッ

「ゴール!!」

この一瞬私は何もかもが一気に軽くなる。

この瞬間だけは素直に思えるんだ……。

ーダンダンッ

この音で私の思考は止まる。

他の人とは違う……癖のあるドリブル。

この音は私の心が動いている証。

ーキュッ

この音で私の心は騒ぎ出す。

ーダンダダダンッ

この音で私はいつもこういう……

「いけっ……」

誰にも聞こえないくらいの小さな声で。

ーシュッ

その音で私のドキドキは止まらない。

いろいろ思いださせてくれるんだ。

「ゴール!!」

そのアナウンスに

「よっしゃ!!」

一人でガッツポーズしている私。

そして瞳の中には……クシャッとしたキミの笑顔。

その顔を見るだけで……私の顔は見る見る笑顔になっていた。

……体が無意識に動くんだ……。

わかるんだ……。

今日ここに来てわかったことがある。

……私は春樹のことが好き……。

過去も……今も……。

たとえ頭でそうじゃないと言っても体は言うことを聞かない。

体は無神経に……あなたを追っているんだよ……。

でもなんで……?なんでこんなに胸が痛いの……?

まだ記憶は戻っていないから……そんなことわからないけど……きっと……その日は近い。

そう思いながらも私はずっと目でキミを追っている。