[完]バスケ王子に恋をして。

「うわーっ……凄い人……」

スタジアムに入ると人がいっぱい……。凄いんだなー……なんて思ったり。

「夏恋ー!!」

遠くで誰か夏恋さんを呼んでいる。

「あ、日向!!」
「夏恋さんの視線を見ると手を振っている日向さんがいた。

「こんにちは奈未ちゃん」
「こ、こんにちは」

爽やかに笑う日向さんはいつ見てもかっこいい。

「ちょっと!!私の奈未を口説かないでー!!」
「はー?口説いてねーし。俺は夏恋しか見てない」
「///」

今……日向さん凄いこと言いましたね……。

さすがです……。

「あ、どっか席座ろうか?どこにする?」
「んー前のほうがいいんじゃない?そのほうが見えるし」
「だな。じゃ、行くか奈未ちゃん」
「あ、はい」

私はとぼとぼ二人の後についているとふとある席を見て立ち止まった。

「奈未……?どうしたの?」
「ここ……知ってる……」
「え……?」

知ってるんだ……。

なんだか懐かしいけど……なんだか寂しい気持ちにもなって……。

私はなんだかこの席に何か気持ちを込めているんじゃないかって思うんだ……。

「私……ここで見ていいですか?」
「え……?いいけど……前行ったほうが春樹くんの顔見れるよ?」
「いいんです。あ、夏恋さん達は二人で座ってください」
「ほんと?じゃ、お言葉に甘えて」

二人は私の列の最前列に座った。

私はなぜだかこの席にいると過去がなんとなくわかる気がして……そんな淡い期待を抱いてゆっくりその席に座った。

目の前には大きなコート……たくさんの観客……。

ここから見える全ての物が懐かしく感じた。

「9月1日、ここのスタジアムで行われるバスケマッチにようこそ!!」

テンションの高いアナウンスにも何かの物語が思い浮かぶ。

それは……とても寂しい……。

泣くって感情ではない……。

ただ……心細いって感じの物語が……このスタジアムに刻まれている気がする。

「選手入場!!」

ウワーッという歓声が起きる。

すると次々と出てくる選手達。

そこに……お兄ちゃんと春樹の姿は確かにあった。

ユニフォーム姿の春樹は……どこで見たことがあるような気がした。