[完]バスケ王子に恋をして。

俺は再びゴールの下に行き考え込む。

……素の自分ってことは……勝負を賭けて俺の本気の実力を見せろってことか……?

「なら……やるか……」

俺は勢いよく足を踏み出し竜基くんに向かった。

「……やっとやる気になったか……」

竜基さんは余裕の顔を見せながら俺からボールを取ろうとする……。

でも俺も甘くはない。

簡単にボールを取らせてたまるか……。

俺と竜基さんのボールの取り合いは続いた。

次第に竜基さんの額からもポタリと汗が落ちている。

俺は竜基さんをここまで追い込んでいるんだ……まだ行ける……。

チラッと横を見ると左サイドが開いている……。

今ならボールを左に投げて走れば俺の体力的に可能なはず……。

そう思って左に足を踏み入れた瞬間……

ーグリッ……

「う……」

俺はその場で倒れ込みボールを離してしまった。

しばらくするとシュッとボールがゴールに入った音が聞こえた。

「おい……そんなもんかよ……」

竜基さんは俺の横に来てドカッとしゃがみ込む。

そう言われても俺は立ち上がれない。

ズキズキと足が痛む。

「まさかの怪我で試合終了?お前のバスケに対する気持ちはそんだけかよ……」

その言葉に俺は怒りを覚えた。

……なわけねーだろ……俺は心臓病になってもバスケをやり続けてやるんだよ……。

「やります……何があってもやり続けますから」

そう言って立ち上がろうとして膝を曲げた。

でもそこから足が動かない。

「……どした?やめるのか?」

その挑発的な態度と言葉に俺の頭の中で何かが切れた。

「やるって言ってんだよ!!俺は竜基さんとちゃんと試合をやるんだよ!!こんな足なくなったって出来る!!車椅子になってもやってやるよ!!」

その言葉に竜基さんは一瞬目を丸くしたがすぐにいかつい顔になって

「じゃあ立てよ……」

そういって俺から一歩下がった。

俺は思いっきり足に力を込めて立ち上がろうとする。

でもなかなか体は言う事を聞いてくれない。

……何でだよ……クソッ……。

俺はもう一度足に力を込める。

……いける……!!

そう思った瞬間……

ーキーンッ!!

「痛!!」

足にいままでの倍以上の痛みが俺を襲った。

また俺は再び倒れ込み足を抱える。

こんな痛み味わったことない……。

肉が引き裂かれる感覚……。

俺はその痛みに転がって耐えるしかなかった。

「……もうやめてよ!!」

体育館に透き通った綺麗な声が響き渡る。

それと一緒にこっちに向かってくる音。

これは……奈未だ……。