「春…樹……?」

そいつは目を丸くして途切れ途切れに俺の声を呼ぶ。

そう……俺はずっとこの言葉をキミから求めていた。

「奈…未……聞い…て?」

俺も息が切れてちゃんと喋れない……。

「うん……まず落ち着こう?」
「ああ……」

俺は一旦深呼吸してからしっかりと奈未の目を見てこう言った。

「俺……やっぱり奈未のこと好きだ……」

そう言った瞬間奈未の顔が歪んで目から綺麗な一筋の涙が落ちてきた。

「これから……奈未のこと守っていきたいし……信じたい……」
「……ッッ」
「奈未を笑わせたいし……俺だけ知ってる表情だって見せて欲しい……」
「……うん」
「だから……俺を信じて?」
「……うん……わかった」
「奈未……こっち向いて……?」

必死に涙を拭いている奈未を俺に向けさせる……。

「俺と付き合ってくれる?」

そう言ったらやっぱり奈未の目から出てくる涙は倍になった……。

だけど……ちゃんと俺の目を見て

「……あたりまえじゃん……」

奈未は涙を隠すように俺の胸に飛び込んできた。

「……サンキュ……」

そんな奈未を優しく包み込んで頭をポンポンと撫でた。

「う″ー……春樹ー……」
「ふ……なんだよ?」
「やっぱり大好き……」
「知ってる」
「酷い!!頑張って言ったのに!!」

キッと下から睨んでくる。

「だってそんなこと知ってるし……」
「じゃあ……私を安心させて?」
「いいけど?」

俺は奈未を俺から少し離した。

「奈未」
「ん?」
「これはいつもと違う意味だから」
「え?……んん……」

俺は俺の気持ちが伝わるように奈未の唇を塞いだ。

……奈未俺の気持ち伝わった?

いつもと違うって……前のキスと違って奈未を幸せにするって約束の意味を込めた甘いキスな……?

階段の小さな窓からは太陽の光が眩し過ぎず、でも明るく俺達を赤く染めている。

……それはまるで俺達の未来を明るく示しているように……