[完]バスケ王子に恋をして。

ーガンッ!!

「キャア!!」

周りの女子が怯えてびっくりしたように悲鳴をあげる。

俺は今羽切の上に馬乗りになっている。

「……痛ってーな……」

羽切は頭をボリボリと痛そうにかいている。

「痛ってな……じゃねんだよ、お前自分で何したかわかってんのか?」

俺はバカにしたように羽切を上から見下した。

すると羽切をも負けじと目を冷ややかにして俺を睨みつけてくる。

「俺が奈未にしたこと?そんなの大したことねーだろ?彼氏が彼女にキスして何が悪いんだよ?」

ーゴンッ!!

鈍い音が俺の近くで響き渡った。

「痛ってーな!!何すんだよ!!」

声を荒くして怒鳴る羽切。

「何すんだじゃねーよ!!俺は今奈未の変わりに殴った。奈未はこんな痛みよりもっと痛い思いをしてんだよ!!それに対してお前なんて言った?俺にしとけばよかった!?そんなこと大したことじゃない!?ふざけんなよ!!」
「だから何?お前が言いたいのは何?俺が奈未を貰ってくとか?俺が守るとかきれい事言うつもり?」
「ちげーよ、俺が言いたいのは……本気で好きなら大事にしろってことだよ」

すると羽切は目を丸くして俺を見た。

「きっとお前は奈未のことがすげー好きなんだろ?そんなの見てればわかる……けどお前は嫉妬に勝てない、奈未が誰かと喋ってるだけでイライラする……そんなの男女同じだよ……でもそこで二人で話すとかそういうことで嫉妬から開放される。……けれどお前は……間違ってしまった」

羽切は俺から目を逸らす。

「お前は最初から恵まれない気持ちで付き合った。けれどやっぱり俺と奈未が一緒にいて気持ちを抑えきれなかった……そんなとき俺と奈未が両思いだと知りイライラはピークに……そして奈未からの別れ……お前は何をすればいいのかわからなかった……でも俺にはそのわからなかった理由がわかる」
「……そんなもんわかるわけねーだろ?俺だってわかんねーんだから……」
「奈未が大事だからそうした……それもあるけど……お前は……俺に負けるのが嫌だった」