……俺は見てしまった……。

奈未が泣いているところを……。

俺は何で泣いているのかはよくわからない……。

……でも奈未の様子から羽切と何かあったんだろう……俺のことで……。

俺は泣いている奈未を慰めることも出来なくてその場から足を外に出した。

……理由は咲羅に後で聞こう……。

なぁ、奈未……俺だって奈未の力になりたいんだよ……。

そのことをわかってくれよ……。

俺は奈未の様子と俺の行動力の無さにイライラしていた……。

その日俺は公園に行かなかった。

奈未にメールしたけど返信来ないし……。

イライラはピークに達していた……。

「あら?春樹今日は公園行かないの?」

仕事から帰ってきた母さんが俺に話し掛ける。

「ああ……ちょっと……」
「そう……まぁ少し休みなさい?毎日遠くの学校まで行くのつらいでしょう?なのに春樹バスケもちゃんと頑張って偉いわ……」

母さんは俺の頭をそっと優しく撫でる。

……こういう母さんの優しさはありがたい……。

小さい時にも一人で泣いていたら優しく頭を撫でてくれた。

やっぱり母さんなんだな……って思う……。

母さんのおかげでか少し苛立ちが治まってきた。


「春樹?頑張るのはいいけど頑張り過ぎるのもダメよ?体壊して楓に迷惑掛かるんだから……だから今日はもう寝なさい?お腹もちゃんと隠すのよ?」
「大丈夫だって……ガキ扱いするなよ」
「うふふ……ごめんなさいね……あ、今月お父さん帰ってくるわよ?」
「え?本当に?」
「ええ、だからもう早く寝なさい?お父さんと会う時に風邪引いてたらどうするの?おやすみなさい」
「おやすみ」

俺は母さんの言葉に甘えてすぐ眠りについた。

……明日になったらきっと奈未は笑っていると信じて……