「奈未……?」

しばらくすると私の前に咲羅がいた。

咲羅は驚いた顔でこっちを見ている。

「奈未!?どうしたその顔!?なんかあったのか!?」

咲羅は私をガシッと掴み肩を揺らす。

咲羅の綺麗な顔は涙のせいでぼやけて見える。

「咲羅……どうしよう……!!私……春樹に……私、私、私……春樹に会えないよ!!どうしよう!!……どうしよう……どうしよう……!!」
「奈未、今は大丈夫だから……な?……今はとにかく泣け……後で話はちゃんと聞いてやるから」

咲羅は私を「よしよし」と子供をなだめるように優しく抱きしめてくれた。

私はその優しさに甘えて泣き続けた。


……その姿を春樹に見られてるなんて知らずに……