「奈未帰るぞ」
「うわ!!」

海斗がカバンを投げてきた。

「ちょっと!!投げないでよ!!」
「いいから帰るぞ」

と言われて仕方なく帰ることにした。

でも……もうちよっと……春樹と話したかったな……。

「じゃあね春樹!!また明日」

春樹に手を振ると

「じゃあね」

と笑顔で振り返してくれた。

その笑顔が私には眩しすぎて急いで海斗のもとに走っていった。

「いくぞ」

海斗にそう言われたがあまり耳に入らなかった。

なんでだろう……。
さっきから春樹のことしか頭に出てこない……。

私は海斗のことが好きなはずなのに……


そんなことを考えていると家に着いてしまった。

「大丈夫か?気分でも悪いのか?」
「ううん。大丈夫」

そして海斗と別れた。


「ただいまー」
「おかえりー」

ママの声がした。

いつもはリビングに顔を出してから部屋に行くが、なぜか行く気になれなかった。

「はぁー……」

部屋に入ってベッドにダイビングする。

ずっと春樹の笑った顔が頭から離れない……

無性に春樹に会いたい……。

会って話をしたい……。

ああそうか……。
私は気づいてしまった……。