「そ、そう…ですね…」


「産まれてくるのが、とても楽しみだよ。女の子かな?男の子かな?」

「…ど、どっちがいいですか?」

「そうだね…どっちでもいいのが本音だよ。女の子でも、男の子でも、愛しい子に違いないから」

「…うん…」


「産まれたら、一緒にシャカ様のところにも行こうか」

「お父さんの、ところ?」

「ああ。そして、人間界にも行こう。あの人達にも会いたいだろう」

それは、きっとおじさんとおばさんだろう。

「聞いた話だが…シャカ様が記憶を操作して、いのりは父親と留学したことになっているみたいだよ」

「そう、なんですか…よかった」

「あぁ。それに、出会った場所にも行きたい。僕達の始まりの場所にね」

「…はい」

「あと…いのりの母親のところにも」

「……はい」

「時間はかかるだろうけれど…行こう。共に手をとって、この先ずっと歩いて行こう。この、果てしない時も、いのりと子供とともにならあるける」

「はい…」

「愛しているよ」

「はい。私も…愛してます」

そういうと、少し暖かい風が私達の間を吹き抜けた。

本当に色々とあったと思う。沢山ないたし、沢山悩んだ。だけど、その分、彼からは沢山のものをもらった。それは、この先、どんなに時間がかかっても返しきれない大切なもの。

それを、もう、失いたくない。だから、ずっと彼の傍にいたい。

失くした記憶も少しづく思いだしていく。そうして、私は幸せになる。