『な…なに?』
食べている手を止め、お父さんはゴホンと咳払いをする。
『実は、いのりに会って欲しい人がいるんだ』
『…え?』
ドキっと胸が高鳴ると同時に、嫌な予感がした。私の手も止まり、一瞬空気が凍りついたかのようだった。
『それって…』
『実は、兼ねてかな付き合っている人がいたんだ。いのりも大きくなったし、そろそろ紹介したくて』
『……』
『あら、それって例の彼女かしら?彼女もやっとって気分だと思うわよ?年々待たせたの?』
『18年以上だね』
それって、私が生まれて…お母さんが亡くなってすぐにってこと?そんな…お父さんにそんな人がいたなんて知らなかった…。
で、でも…そんなの…
『結婚、したいって事?』
『あ、あぁ…いのりが気に入ってくれれば。とても優しい女性だよ?きっと気に入ると思う』
『…お母さんは…どうなるの?』
私の言葉に、お父さんの顔が引きつった。そして、ため息をはき、そのまま腕を組む。
『いのり、彼女はもういないよ』
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