「この…髪の…毛…は…」

わたしの?え…な、なんで、こんな色なの?

思いもしない事に、混乱してしまう。


慌てて立ち上がろうとした身体を起こせば、グラットっと揺れ、そのまま倒れ込む。だめだ…身体に力がはいらない。

「うっ…」

頭をかかえ、力抜けたように生暖かい水に身体を委ねると、不意に頭上に影がさした。


そっと目をあけ、その先をみると、そこには微笑むお父さんの姿。


「あ…お、お父さん?」


「おはよう。良かった、目が覚めてくれて」


「え、あ、う、ん?…えっと…なんで、お父さんが…え、あの…え、え?」

これは、ど、どういうこと?わたしの疑問がわかったのだろう。


何かを察したかのようにしゃがみ込み、身体を支えるように抱き起こす。


「いのり、落ちついて。私の声はきちんと聞こえているか?」


「あ…え、っと…う、うん」



「そう。身体の具合はどうだ?痛い所とかあるか?」


「えっと…頭が痛くて…身体が重い…かも」


そう言うと、お父さんは肩を撫で下ろす。


「そうか。いのりは」


「あの…どう、して、私…ここにいるの?それに、この髪の毛は…」


言葉をさえぎった私に、お父さんは押し黙る。数秒の沈黙の後、口を開いた。