「そんな事、ないわ…悔やんでもしょうがないじゃない」

確かにそうだ。だが、グレンはそう思えない。こんなに女々しかっただろうか。


いや、いのりと思い合うようになってから変わったのだ。こんな風に、どこか遠くを見つめ恋焦がれることもなかっただろう。


「迎えに、いかないの?きっと、あの子は待っていると思うわ」


「いけないだろ。あそこは、天界と違う」


シャカの住む世界、そこは天界と次元が違う。その場所に行くにはシャカと共にいくしか方法がないのだ。神すらも、王すらも入ることが出来ない世界。そこがシャカの世界だ。


「行く方法なんて、ないんだ…」


なんで、そんな事を言うのだろう。なぜ、あきらめるのだろう。グレンらしくない。


「もしかして…恐いの?」


「…ふ、フェイラン様」


アレスがフェイランを制すがそれを、無視し言葉を続ける。



「再会した所で、突き放されるのが恐い?また、守れなくなるのが恐い?それとも、自分達と同じように…覚醒してしまった彼女の記憶から…消えてしまっているかも、そんな事を考えているわけじゃないわよね?」


グレンの脚がとまった。そのまま少しも動かない。黙ったまま、脚を止めるグレンにフェイランは近づく。


悪い子供を怒りつけるような顔で、グレンを除きこむと、フェイランは言葉を失った。


「…あ…」


その顔も、また、フェイランは見たことがなかった。衝撃…いや、それ以上の…言葉に出来ない感情にフェイランはもう、何もいえない。


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