二重人格神様~金と碧の王~



「これが、なんだから…ご存知かしら?」

頬にあった手がはなれ、そのまま背後にかまえる老人に手を伸ばす。その手に何かを受け取ると私の前に差し出してきた。

これって…

「剣…?その剣で、私を殺めるって、事ですか?」

私を殺める。それが、彼女にとって一番良い方法ってこと?やっぱり…ルーテルさんは恐い。


誰かを殺めるなんて事を考えるなんて…


「そんな事をしたら…ルーテルさんは、もう…この世界には…」


「わかっているわ。でも、誰かと幸せになるのを、親指を加えて見ているなんて…私には出来ない。それが人間なら、なおさら」


鞘に手をかけ、そのまま引き抜くと、キラリと輝く鋭利な剣。


鞘を投げ捨て、その矛先を私の喉のむけ、微笑んだ。


「きっとね…わたしは、冥界に落とされることはないわ。冥界に落とされるより重い罪をすでに背負っているのも」

「…え?」


「この剣はね…特別な剣なの。遠い、遠い昔…私達神でも気が遠くなるような昔…とても大きな戦争があったの。そのくらいは、あなたもご存知でしょう?」


それは、天界と人間界が分裂するきっかけになった戦争のことだ。


黙りこむ私に彼女は続ける。


「下記の戦争で、この剣は人間が所有していたわ。そして、沢山の神の血を浴びた。そうしているうちにこの剣はとても高い力を身につけてしまったの。もう、誰も持つこともままならないほどに。けれど、剣は欲したのよ…人間の血が欲しいと。そんな時、剣の前にある神が現れた。剣を手にしたわ…そして、人間をあやめた」


「…」