どちらもまるで様子を伺うように見つめ、口を開かない。身動き一つ取れない状況のなか、クスリと微笑みルーテルさんが言う。
「お久しぶりですね。随分と、仲がよろしいみたいですね」
あ…。思わず肩を組んでいた事に気付き慌てて離れようとするが、海鈴さんの腕はさらに肩を強く抱く。
「海鈴さん、だめ…」
「駄目はこっちの台詞だよ。離れたら、きっと襲い掛かってくる。僕から離れないで」
そんな…。そんなことをしたら、海鈴さんだって危ない。
それに、体調が悪いのに…。耳元で聞こえた声にしぶしぶ頷けば、ルーテルさんは軽く咳払いをして口を開いた。
「海鈴さんは、いのりさんを本当の花嫁にするとお決めになったのね」
「そうだよ…ルーテルには悪いけど、理解しているのなら…もう彼女には近づかないで欲しいんだ」
海鈴さんの言葉に、彼女の顔がくもる。何かに堪えるように手を握り締めた。
「え、それ…どういう、意味、ですか?」
「そのままの意味だよ。ルーテル、前からハッキリと言おうと思っていたけれど、キミがこの前いのりにした事は許される事じゃない。あんな事をしたのに、キミがここにいられるのは、いのりの願いでもあり、僕が王で、皆を冥界に落としたくないからだ」
「……」
「本当なら、この屋敷からも出ていってもらいたいところだけど…それはしない。だから、もう、彼女の事はほっておいてくれないか?」
少し掠れた声で、海鈴さんは言う。視線を反らさず、真っ直ぐぶつかる視線に、ルーテルさんはうつむく。
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