目が覚めたからって、起き上がってはどうしようもないのに。
海鈴さんの腕に手を回り肩にかける。
「分かりました。戻りましょう?」
「ごめん…でも、いのりを追いかけないと、って思ったから。」
「え?」
「寝ている間に嫌な気配をわずかに感じた。それに気づいて、グレンが僕を無理矢理おこしたんだ。あいつらの気配を感じる。たぶん、僕らの様子を伺っていると、思う」
それは、ルーテルさん達だろうか。それなら、やはり部屋からは出ないほうが良かった。きっと、海鈴さんは起きてその気配に気付いて私を追いかけてきたんだ。
「ごめんなさい。とにかく、戻りましょう?」
「そう、上手くいきませんわ」
…え?
暗闇から聞こえてきた声に私は振り返る。それに釣られるように海鈴さんも振り向くと、耳元で「しまった」と呟く声が聞こえた。
この声は、ルーテルさんだ。
アレスやフェイランさんから油断するな。そう、言われたことを思いだす。
あれだけ、注意されたのに…。息をのみ、身体をかたくしながら声をかける。
「ルーテル、さん?」
私の声に答える反応はない。数秒の沈黙が流れ、小さな足音と同時にその姿が見えた。
背後にはライと老人の姿。
鋭い目で私を見るルーテルさんと老人。その横でライは視線を外し、どこか険しい顔だ。
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