二重人格神様~金と碧の王~


ふらつき倒れそうな足取りで、腕を引かれ私は思わず立ち止まった。

引かれるように海鈴さんが振り返り、ため息をはく。


「いのり…」

「あの…」

なんだろう。なんか、おかしい。なんとなく感じた違和感に、私は数歩後ろに下がる。


その行動に、海鈴さんは険しい顔で私を見つめた。


「いのり?」

「あ…あの、本当に海鈴さん…ですよね?」

「え?」


私、なにを言っているんだろう。こんな事、前にも言った気がする。そう、グレンさんの事を知らなかった頃、同じような事を言った。


海鈴さんだけど、海鈴さんじゃない。でも、今、前にいる彼が海鈴さんなのは、間違いない。


でも、なんか…なんか、おかしい。

私の戸惑う様子に海鈴さんは額の汗をふき、壁に寄りかかる。


「キミは、本当に鋭いね。体調が悪いせいで、グレンを上手く制御できないんだ。意識の半分はグレンになりつつある」


「それって…」


「今、グレンになったら…多分、もう僕の意識は影にと変わってしまう。そういうわけにはいかないんだ」

そうか…。だから、海鈴さんだけど、何か違う感じがしたんだ。


「大丈夫なんですか?それだったら、大人しく寝てないと」