「え、い、いえ。何回も様子を見に来たのは...」


「え?なに?」


聞き返せばアレスは数秒黙りこみ、唇に人差し指をおき小さな声で言う。


「なんでもありません。あとで、お礼をいっておいてください」

「もちろん」


胸元で手を握りしめると、夢をみていた時を思いだす。


うなされていて、海鈴さんが手を握ってくれてたんだ。あの温もりは気のせいじゃない。


泣くなと、頬に触れた熱も海鈴さんだったなんて、嬉しいの言葉以外みつからない。


そんなことを考えらなが、わたしは部屋にむかった。



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