「…あ」
バランスが取れなく、転びそうになると伸びてきた手が私の腕を掴む。
同時に引き寄せられ、グレンさんに抱きしめられてしまう。
何度、こんな風に助けられただろうか。海鈴さんにも、グレンさんにも。
「ご、ごめんなさい…」
「いや…まだ、ふらつくか。てか、歩くなよ。転んだら、どうするんだ」
「でも、お世話になったから、せめて見送りでもと思って」
こんな風にありがた迷惑で終わってしまったけど。
「そんな事、俺にしなくていいから」
「けど…」
沢山、助けてくれて…嬉しかったから。そう言葉にしたい。けれど言葉にするのが怖くて、そっと彼をみあげた瞬間、時が止まったかと思った。
グレンさんと視線がからみ、そのままお互いに反らそうとしない。瞳に写るその姿を見つめている。
どうして、反らそうとしないの?その瞳はいつもの瞳ではなかった。
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