「いえ、なんでもないです。あ、じゃあ、頂きます」
グラスを口にあけ、少しだけ口に含むと思ったより甘くない口触り。少し酸味があるが、甘さとバランスが取れていて、とても美味しい。
アレスが淹れてくれる紅茶と同じくらい。
その美味しさについ、笑顔になるとルーテルさんは嬉しそうにほほえむ。
「良かった。喜んで頂けたみたいで」
「あ、はい。とても、美味しいです」
「えぇ」
こんな飲み物があるなんて知らなかった。ここに来て随分たつのに、初めて。
その美味しさに捕われるように、グラスを飲み干すとルーテルさんは少し視線をそらし、月をみあげた。
・


