「どこか…行ったのかな?」
急な用事とかで。
少し残念。肩の力を落としため息を吐きながら来た通路を引き返す。
まぁ、急がなくても、夜に聞けるもんね。
そう思い、長い階段をゆっくり下ると、階段の少し先に銀色の髪を結ぶ後ろ姿が見えた。
「…あ」
大きい背中にサラサラとした銀色の髪の毛。
つい、抱きつきたくなるような、愛しい背中に胸がときめいた時には勢いよく走りだし、その背中に強く抱き付くと、彼の身体がビクリと震えると彼が手にしていた大量の紙の束が宙に舞った。
驚かせてしまったが、そんなのどうでもいい。
「海鈴さんっ」
会えたことが嬉しく、その愛しい名前を呼びフワッと鼻をかすめる香りに顔をあげると、その鋭い瞳が私をみた。
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