夏爽side

ーダンッダンッダンッ

放課後の体育館で俺は1人…フリースローの練習をしていた。

ーガンッ

ボールが枠にあたって跳ね返ってきた。
俺はボールを見つめて思い出していた。
昼休みのアノコの事を…

宮野 優芽葉…
スノークイーン…
アノコが?
雪の女王…?
俺には違って見えた。
頭を撫でた時のアノコは硬直しているように見えた。

ーガラッ…

体育館の扉が開く。
『あっ…どうもです…』
そう言うと逃げるようにして部室へと入ってしまった。
どうしようかと迷ったが挨拶だけでもする事にした。

ーガチャッ

扉を開けると部室の中央に宮野さんが立っていた。
「宮野さん?」
『はっ!?…はい。』
すっとんきょうな声を出して振り返る宮野さん。
「どうした?」
『あ…汚ないな…って』
辺りを見回しながら答える。
「マネージャーが風邪ひいてからね…」
『そうですか…』
「あっ!!俺、神前夏爽って言うんだヨロシク!」
神前 夏爽(カンザキナツト)高2
バスケ部 主将。
『あっ…はい…』
「そんな硬くならなくて良いよ!」
『え?』
「緊張しないで」