9時10分前に着いたが、眼鏡の父さんは先に来ていた。


「よぉ。」


足音に気付いた父さんが振り向き、手を振っている。


「早かったね、父さん。」


「おお、まぁ座れや。」


俺は父さんの横に腰掛けた。父さんは下を向いて自分の鞄をガサゴソやっている。


「ほれ、飲めや。」


そう言って笑顔でワンカップを差し出した。


「あら、なしたの父さん。いいのかい?」

思わず笑顔で受け取る俺。


「いいから飲むぞ。」


父さんはカップの蓋を開けて、乾杯を待っていた。