そんな號樹の必死な様子に気付いた彼女はハッとしたようその動きを止め、ごめんなさいねと可愛らしく首をかしげた。
実に自然な愛らしい汐莉そっくりの微笑みを浮かべて。
その一連の自然な動作に號樹は思う。
この母親はこの表情で父親を落としたに違いないと。
しかも絶対に無意識なところで。
母を見るたび、女って怖いと学ぶ號樹であった。
「…コホッ…ワン、ステ…?」
「そ。去年文化祭で一緒に見たでしょう?」
そんな少しずれた思考を振り払い彼は彼女に問い掛ける。
わざとケホケホ咳き込みながらそんな母親を睨んでみるがまるで効果はなく。
キラキラとした表情で號樹の目の前に封筒を突き出した。


