差出人もわからなかったそれに大して興味が湧かなかった號樹は、何を気にすることもなくそれをそのまま鞄の中に放り込んだのだ。
もちろんそれがどんな封筒か、など関心があるわけもなく。
何を疑問に思うこともなかった。
というより汐莉が取り出すまで見つけたことすら忘れていた。
もし汐莉が勝手に取り出すことをしなければ、何日か放置された後ごみ箱に行く運命だっただろう。
その証拠に汐莉が掴んでいるそれは、既にぐしゃりと形が歪んでいる。
號樹がこういった手紙類をしまったまま忘れることはよくあることだ。
学校から保護者宛の手紙もまた然り。
手紙からすれば汐莉が鞄から抜き取ったことは幸運だったかもしれない。


