あの日もアサガオが咲いていた。





そう。忘れてはいけない。

彼はどうしようもなくこの小さな妹に弱いのだ。

所謂、シスコンというやつである。


年が十近く離れているせいだろうか。

號樹はこの幼い妹が可愛くて仕方ない。

故に兄でありながらこの妹の主張にいつも折れてしまう。


だが今回はダメなものはダメと教えなくてはと。

そんな兄としての使命感もあった。




「あらなぁに?ラブレター?」




見つめ合いながら無言の攻防戦を繰り広げていた二人の間に入ってきた若い女の声。

声の主は言わずもかな。

夕飯の準備をしていたはずの號樹と汐莉の母親である。


その声は明らかに明るく弾んでいて。

まるで女子高生が女同士で恋バナをするときの勢いそのもの。


確認しておくが、二児の母である。