弱くても楽しく好きなことをしていた時間。
キラキラと輝いていた空間。
(また、バレーしてえな…)
母親の影響で幼い頃から好きだったそれ。
中学に入ったときにもすぐにこの部活を選んだ。
今もあのボールに触れていないわけじゃない。
あのネットに、コートに触れていないわけじゃない。
でも、何かが違う。
一体いつから本当の意味でそれに触れていないのか。
もう號樹自身もわからなくなっていた。
ただわかるのは、きっとあの学校でバレーがしたいと願っているのは自分だけなのだろうということだけ。
そんな今の現状と懐かしい記憶が頭の中で行ったり来たり。
ぐるりぐるりと回る中、號樹の意識は半分夢の世界へと足を踏み入れていた。


