だが父親は違う。
どちらかというと優等生タイプの父は、勉強よりも部活に打ち込む號樹の気持ちが理解できていないのだ。
父が悪いとは言わない。しかし號樹にも譲れないものがある。
どうにか父の興味をそらせないものか。
そう考えるも良い案が思いつかぬまま、號樹は荷物をリビングに放り投げた。
そして自分も長いソファーに体を倒す。
(つかれたー…)
長く吐いた息は、虚ろな瞳が映すカーペットへとあっという間に吸い込まれて。
ぼんやりとそれを見つめながら、重力に身を任せる號樹。
「部活はどうだった?」
「んー…普通」
キッチンに立っている母の言葉に曖昧な返事をして、號樹はゆっくりとその目蓋をおろした。
その時一瞬ぐっと曇った彼の表情。


