あの日もアサガオが咲いていた。





「あ、でも優勝すれば賞品は凄いんだぜ?」


「…賞品…?」




刹那の表情はまるで無かったかのように、男は得意気に口角を上げる。

確かにこの目に見た男の寂しげな表情が気になった絢也だったが、彼の発した"賞品"という言葉にピクリと肩を揺らした。


学校の行事に賞品。確かに有り得ない話ではない。


予想として一番にあがるのは何かお菓子の類いか。

よくて食堂の無料券辺りだろう。


体育祭などでも参加すれば何か貰えることがある。

競い合うという言葉を聞いた時点で絢也も何かしら賞品が出るのであろうとは思っていた。

そしてそれは参加賞などよりも少し良い品のはずである。


そうでなければこんな学校側からの強制的なイベントが二十年も続くとは思えなかった。