「和泉原がさ、秋に中高一貫で文化祭やるのは知ってる?」
受け流された視線に一瞬むっと眉を寄せた絢也だったが、いくら視線を投げたところで同じ結果になるのだろうと早々に諦め彼の言葉に頷いた。
素直な絢也のその仕草に笑みを深くする男。
絢也の通う私立和泉原学園では、毎年夏休み明けの九月に中等部と高等部の合同文化祭が行われる。
そのことは絢也も入学説明会で聞いていた。
通称"朝顔祭"と呼ばれるそれ。
この辺りの学校としては比較的有名なもので。
一般公開の日にはあちこちから人が集まる。
学校をあげての一大イベントなのだ。
この文化祭目当てで入学してくる生徒も多い。
だが、母親に勧められるがまま和泉原学園に入学した絢也。


