「...ねぇ、柊(ヒイラギ)。」
「...なに」
「なんで君、ここにいるの。」
薄暗い部屋の中。
私は親友を殺そうとしているのだろうか。
いや、端から見たら殺そうとしている。
この人差し指にかかっているモノを押してしまえば、目の前の親友は確実に死ぬだろう。
なんでこうなったんだっけ。
「ここはあたしの部屋だからに決まってるだろう。お前の家じゃない。」
「...あぁそっか。私、柊の家に泊まりに来たんだっけ?」
「だっけ?じゃない、来たんだ。」
「そっか。んで、なにしてんの?」
「あたしに聞くな!いきなりお前がやって来たんだろ!」
いきなり、私が?
「私が君をこんな風に傷をつけるはずないでしょ?」
「...お前、ふざけてんのか」
「ふざけてなんかないよ。私はなにもしていない」
「こういう状態でよくそんなこと言えるな」
そうだ、この態勢じゃ私が柊を殺そうとしているように見える。
「......」
「......それでもこの拳銃は下ろさないんだな」
「下ろす気分じゃないだけだよ。殺しなんかしない、安心して。柊。」
「殺す気満々だろうが」
そんなことないのに。