「ほら、あと少しでご飯出来るから顔洗ってきなさい」

「はーい」

そう返事をして洗面所に向かった柊の後を追う。

やっぱりおばさんはいい人だ。

柊のことを大切に思っている。

しかも私のことまで良くしてくれて。

本当にいいお母さんだ。

「ねぇ柊、おじさんは?」

「まだ寝てるかもね。そろそろお母さんが起こすと思う」

「...そう」

お父さん、か...。

「...まだ、怖い?」

柊が心配そうな顔で覗き込んできた。

顔をあげて少しの笑みを溢す。

「いや、もう大丈夫だと思う」

「...柚が嫌な気分になるなら、お父さん殺...」

「いややめろよお父さんなにも悪くねーしつーかついさっき私嫌な気分だったんですけどー?」

少し焦って一息で言った。

「でも、」

「やめろってば」

不服そうな顔をしながらも諦めたみたいで、柊は顔を洗い始めた。