ていうか、なんだよそれ。
私がもう一人いるって?
馬鹿馬鹿しい。私一人しかいない。
「...じゃあ、お母さんに聞いてみろよ」
柊は苦しそうに喋った。
「お母さんに?なんで。」
「そしたらわかるだろ?柚が何人いるのかが。」
「...なにその言い方。私以外の"私"がいる前提じゃないか」
「ああ、そう言ってんだよ。確実にお前一人じゃないことは」
ダンッ!!
「...ふざけんのも大概にしろよ、柊。」
さっきから柊に押し倒されたままだったが、次は私が柊の上に乗るような形になった。
「私は一人しかいねぇってさっきから言ってるだろ」
「...そ...た...も」
「...?はっきり喋りやがれ」
イライラ。イライラ。
何故自分がこんなに怒っているのか全くわからない。
驚いているだけか。
自分の意見を肯定してくれなかったからか。
私じゃ、駄目だと
僕じゃ駄目だと、遠回しに言われているからだろうか。