「...やっ、ほ。」

ぎこちなく挨拶した柚は、なんだか"違った"。

嬉しそうに、照れながら下を向いた柚。

真っ直ぐ柚を見て、円満の笑みを浮かべる柊。

柊はどこか"違う"ことも頭の隅にすばやく置き、柚に抱きついた。

ようやく会えた。

二人とも、同じことを思っていた。










あの時から、もう柚はいなかったんだ。



いたのは、柚の欠片だけで。



あの時、なんで行かなかったんだろう。

あの時、どうして違和感があったのに、なにも言わなかったんだろう。

柊は思う。



あの時、何してたっけ。

柚は、思う。