まだ、私達が小学2年生の頃。
柚は、父親から虐待を受けていた。
暴力、罵声。
そして柚の母親も、DVを受けていた。
父親が暴力を振るうようになったのは、仕事のストレスや、お金の自由が利かなくなったことからだった。
仕事では失敗が多く、上司に叱られ。
部下は役に立たず、仕事はやらない。
柚が生まれて、お金も前より使えなくなり、趣味のギャンブルも出来なくなった。
一度、柚の母親がお金を渡し、父親をギャンブルに行かせた。
が、負けてしまい、妻に頼まず、こっそりお金を盗り、ギャンブルに行き、負けてしまう。
こんなことが続いた。
そうして父親のストレスも溜まり、ついに爆発して家族に暴力を振るうようになったのである。
柚は父親からの暴力や罵声には慣れていた。
いや、実際には、父親と関わってる時だけ"無"になっていた。
柚にとって一番辛いのは、母親がDVを受けている時で。
そのたびに自分はなにも出来ない無力な人間だと思い知らされ、そして
父親を殺したい衝動にかられていた。