「次は、エリク。やってみろ」


只今の授業は、実技の授業の魔法科目。
二年生に上がりたてのこの時期は、一年生の総ざらい。

基礎基本はさておき、火水風地への属性変換。
維持した状態での、操作技術。
そして、最後に、用意された的へと命中させる、的中精度。

「はい、五番エリク。やらせていただきます」

まずは、掌に白い光を放つ魔力体を放出。
頭の中で創造する土くれをそれに反映し、泥の塊へと姿を変える。

(あーりゃりゃ、やっぱイメージ通りにはいかないねぇ)

と思いながらも、今度は操作技術の項目を埋める為、その土くれを三つに分ける。
操作技術の一つ、分割である。上手い人であれば均等に分けられるのだが、エリクの土くれはどろどろに溶け落ちそうになりながらも、大中小と三つに分かれる。

「なんだよあれ、地属性のつもりか?」

「ははは、あいつ本当へったくそだよな」

「ただの泥よ、きったなーい」


とはお笑い者の、エリクは大して気にせずに次の段階へ。
エリクの立つ場所から二十メル離れた先にある樹の枝に吊り下げられた丸太。
遅いながらも、軌道は曲線を描きながらベチョベチョと音を立てながら、丸太に土色を塗りつぶす。

「とりあえず、最低基準は超えてるな。いいぞ、戻れ」

「…ありがとうございます」

ひと息落ち着き、クラスメイトの垣根を越えて、少しばかり離れたところで腰を下ろした。
通り過ぎるたびに向けられる、珍奇なものを見るような眼差しは、わかっていてもなんだか痛々しい。

(まぁ、不審に思われないだけ、いいか)

エリクは疲れたような顔をして、クラスメイトの授業の動向に目を向ける。