雷獣は猫がお好きなようです

「…どうした」

「…アイス、溶けちゃった…」




しょんぼりしながら言うあたしに、黒髪の男は首を傾げた。




そして地面にしゃがみこむと、アイスの棒を見てあたしに差し出してきた。




「…だが、運がいいかもな」

「え?」

「当たりだ…」




あたしもしゃがんで男が差し出す棒を見ると、確かに当たりという文字があった。




「あ、ホントだ…。あ!それ、あげる。」




あたしは嬉しそうに笑うと助けてくれたお礼だよ、と続けた。




「…あぁ、ありがとう」

「どういたしまして!…そろそろ帰らないと…」

「……また、会えるか?」




立ち上がって時計を見ると、2時を過ぎていた。
帰ろうとするあたしの腕を掴んだ男は、そう聞いてきた。