特別棟の階段を上り終えると、屋上の扉の前で深呼吸をした。
扉の向こうからは楽しそうな声が聞こえる。




(大丈夫。玲衣は昨日来ていいって言ってくれたし、きっと大丈夫。追い出されたりはしない、はず……)





ガチャ、




遠慮がちに扉を開ける。そしてひょこっと顔を覗かせた。




「あ、朔妃!!やっと来た!!!早く来いよ!!!」




屋上には六人全員いて、一番にあたしに気付いた薫が笑顔で手を振ってきた。




「よっ」

「おはよう。こんにちわ、の時間だけどね」




薫に続いて他の人も笑顔で言ってくれる。




「えっと…、お、おはよう」




追い返されたらどうしよう、と思っていたあたしは拍子抜けしてしまった。




六人は座っているのでどこに座ろうかと思案していると、玲衣の隣に座っていた薫が少し横にずれてくれた。




「ここ座れよ、朔妃」

「ありがと、薫」




薫が空けてくれたところに座ると、待ってましたというように玲衣が髪を撫でてきた。