公園に近付くにつれて聞こえる肌を打つ音に、苦し気な声。




公園の中がすべて見える位置まで近付いたあたしは、公園の中央を見て足を止めた。




暗くてよくわからないが、闇に溶けるような黒髪の男に向かって殴りかかる５人の男達。
だが、皆すべて返り討ちに合っている。




(喧嘩…？しかも多勢に無勢なんて卑怯じゃない…！)




そして黒髪の男の回りにはまだ何人かの男達が倒れている。




５人の男が一斉に殴りかかってもすべて返り討ちにする黒髪の男を、あたしはアイスが溶けるのも気にならないくらい見つめていた。




黒髪の男を見つめていたあたしに気付いた５人のうち、耳にたくさんピアスを付けた男があたしに気付いてナイフを片手に走り寄ってきた。




あたしがピアス男に気付いたのは腕を捕まれた後で、捕まった拍子にアイスがあたしの手を離れた。